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あんたのやせっぽっちの鎖骨には、種無し葡萄を盛り付けて。 それを、直接、このお口で食べるので、よく見ておいてくださいね。 鼓膜をピンと張って、どんな音も逃がさないでくださいね。 柔らかい皮膚を、あたいの体温と同じにしてくださいね。 そして、肋骨と筋肉と皮膚の隙間からスルリとすり抜けるこの心臓の収縮を感じ取ってくださいね。 例えば、あたいが昨日何歩、歩いたかとか、 あたいが、何回呼吸をしたか、とか あたいが、何グラムご飯をたべたのか、とか そういった、直接的に私の命に繋がる事・・・そういった事すらもぼやかすくらいに 今、現時点での私の命からかけ離れた所で発生する、空間やら空気やら、そういうどうでもよい、遠い遠いいつかの出来事、これからの出来事、そんなものを感じさせてくださいね。 種無し葡萄が、あんたの鎖骨の上で時間が経って極上のワインが出来ないように、あたいにすぐそれを食べさせてくださいね。 あんたは、その時、どこか遠くの真正面だけ見ていれば良い。
by kingyonoosasimi
| 2005-09-14 23:09
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